■気管支喘息

現在は、気管支喘息の発作を起こさないように治療することが大原則になっています。発作を起こしてぜいぜいすると、その度に気管支の粘膜が荒れてしまい、ちょっとした刺激(ほこり、ダニによるアレルギー反応)でも発作(気道の過敏性亢進という)を起こすようになってしまいます。小さな発作でもきちんとコントロールしないと、気管支喘息が悪化してしまいます。小児期の喘息を成人に持ち越さないように、早めに治療しましょう。きちんと治療をしていれば気管支喘息の多くは中学生中に自然に軽快します。しかし「発作を起こしている時に苦しいのだけ直せばよい」という考えで治療していると、治る年齢も遅くなりますし、やっかいな難治性喘息になることもあります。発作のないときの治療が一番大切です。環境整備、身体鍛錬、内服薬,吸入療法が治療の4本柱です。環境整備は発作の回数を減らし、身体鍛錬は発作を起こしにくい体を作り、内服薬、吸入療法の効果を高めることができます。
環境整備
1.まめに掃除をする
掃除の基本は、掃除機でほこりを吸い取り、濡れぞうきんで拭き取ることです。ほこりを舞い上がらせるだけの掃除は逆効果です。ですから、掃除機の空気の噴出し口は窓のほうを向け、または排気管を長く伸ばして掃除機本体は家の外(たとえがベランダ等)に置くのが良いのです。
2.風通しをよくする
最低でも1日に1回は窓を開け放って、空気を入れ替えて下さい。部屋の通風が悪いと湿度の高い状態が維持され、ダニが増えます。冬はとかく閉め切りになりますが、暖かく、湿気の多い環境はダニの繁殖を促します。アルミサッシの普及率と喘息の患者数が並行しているという統計があります。昔の日本家屋は通気が良く自然に換気されているのに比して、アルミサッシは気密性に優れているのがこの場合は逆効果であると考えらます。
3.床は板の間,、ローリングにする
床は板の間・フローリングがベストです。じゅうたん・カーペットはダニの絶好の棲み家で、どんどん繁殖してしまいます。(板の間の10000倍はダニがいます)。家の中から全てなくしましょう。お子さんの部屋はもちろんですが、他の部屋のじゅうたん・カーペットもはがして下さい。畳も汚れています(板の間の100倍はダニがいます)。畳の上のじゅうたん・カーペット敷きは最悪です。これは自分の経験からも言えます。私は大人になってから喘息になりました。1980年本院を建てたときに部屋や廊下や階段等をすべてじゅうたん張りにしました。2年間くらいは何事も起こらなかったのですが、2年位してから私と次男が喘息発作を起こすようになりました。夜中にトイレですごす時間が多くなりました。トイレにいると発作が鎮まるのです。検査してみるとHD・ダニが強陽性でした。それから家の大改造です。じゅうたんをはがし、板の間やフローリンクにしたのです。私も次男も発作は激減しました。次男は合宿や修学旅行に行くと発作を起こしました。枕投げなどをすると夜は眠れなかったようです。カーテンは長く・床に着きそうなものはやめて、短いのを使いましょう。またカーテンの洗濯もしましょう。
4.布団、枕の選択
綿・ウレタンの布や枕が良いようです。羽毛・羊毛・ソバ殻はダニがつきやすいのでやめましょう。
5.寝具の干し方
(1) 晴れた日には掛け布団、敷布団、毛布、枕などの寝具類は天日干しをしましょう。天日干しにするとダニは死にますが、死んだダニでもアレルギーは起こります。
(2) 取り込む前に、家の外で必ず掃除機をかけて下さい。布団や毛布を叩くだけではダニは落ちません。寝具類の表と裏の両面に1平方メートルにつき20秒以上の時間をかけて掃除機をかけてください。
(3) 季節の変わり目に押し入れから出したばかりの布団,毛布には,ダニが大量に繁殖しています.必ず天日干しをし,その後掃除機をかけましょう。
6.大掃除の勧め
年に1回、梅雨明け頃に大掃除を行うことによって、その年のダニ増殖ピークを抑えることができます。年末に大掃除をするよりも寒くないですし、ダニ対策には効果があります。家屋内のダニ数全体を減らすという意味で。大掃除を実施することをお勧めします。
7.暖房器具の選択
空気が汚れない、部屋のほこりが舞いあがらない暖房器具にしましょう。FF温風ヒーター、こたつ、床暖房、電気カーペット、電気ストーブ、パネルヒーターをお勧めします。
8.ペット
犬や猫の毛やフケ、小鳥の羽などはアレルギーの原因になります。飼うのはやめましょう。
9.ぬいぐるみ
ぬいぐるみはダニの温床です。全部まとめて処分してください。
10.車の掃除
年に1回、梅雨明け頃に大掃除を行うことによって、その年のダニ増殖ピークを抑えることができます。年末に大掃除をするよりも寒くないですし、ダニ対策には効果があります。家屋内のダニ数全体を減らすという意味で。大掃除を実施することをお勧めします。

身体鍛錬

体を鍛えることは心を鍛えることにもなり、喘息の原因のひとつに挙げられる精神的な問題の解決にもなりうると思います。一番喘息発作を誘発しないスポーツは水泳ですが、自分の好きなスポーツをさせるのが良いでしょう。やり遂げることが重要です。ただ子供によってはスポーツは嫌いという子もおりましょう。スポーツ以外で体を鍛えるのは水かぶりや乾布マサツです。私が一番お勧めするのは水かぶりです。
1.水かぶり
通常は夏から始めます。風呂から出る前に洗面器で10杯の水道水を肩からかぶります。シャワーのように切れ目なくかけるのではなくて、一杯かぶったら次の水が貯まるまで待つというインターバルがあるのが大切のようです。10杯かぶると風呂から出ても体がポカポカと温かく、冬でも少しの間そのままのカッコウでいられるくらい温まります。シャワーでかけるとそのようなことがなく、また1回くらいかけるだけだと却って体は冷えます。夏から始めて1年間位は続けてください。私も次男と一緒に1年間水かぶりをしました。その経験からお勧めしています。風邪を引かなくなりましたし、寒がりでなくなりましたし、良い効果があると思います。
2.薄着に
子どもは薄着にしましょう。喘息の子どもはなおさらです。秋から冬にかけて一枚多く着たくなる時期があります。この時期に一枚多く着せるか、着せないかが薄着になるかどうかの分かれ目です。“おばあちゃん子は弱い”といいます。ご老人の皮膚感覚で、子どもを育てるからだといわれています。おばあちゃんはこの時期に一枚多く着せるのです。またちょっと孫が風邪を引くと、“薄着にしているからだ。かわいそうに”と母親に文句を言うのもおばあちゃんです。薄着にして、冬でも半そでくらいで外を遊びまわっている子に喘息の子はいません。このごろはちっとも見なくなった光景です。

内服薬

気管支喘息の内服薬には、テオフィリン製剤(テオドール等)、β2刺激剤(ホクナリン、ベラチン、スピロペント等)、抗アレルギー薬(ザジテン、セルテクト等)、ロイコトリエン受容体拮抗剤(オノン、シングレア)、漢方薬(柴朴湯、小青竜湯、麦門冬湯、麻杏甘石湯等)があります。これらを上手に組み合わせることで喘息の発作回数を減らすことができます。
1.テオフィリン製剤
気管支喘息の喘鳴を止める作用が強く、喘息治療の基本となるくすりです。当院では、テオドールを処方します。テオフィリン製剤は非常に効果が高く、長期間服用しても効果は落ちません。喘息の発作のある時はもちろんですが、調子がよくて発作がない時にも予防薬して服用して(RTC療法)下さい。量が多過ぎると寝つきが悪くなったり、ドキドキしたり、むかむかしたり、ひどい場合にはひきつけを起こすことがあります。体重を目安に処方しますが、テオフィリン製剤をからだの中で分解する速度は個人差、年齢差が大きいので、投与量を決めるために血中濃度のチェックが必要です。
2.β2刺激剤
風邪や気管支炎の時に処方する気管支拡張剤と同じです。本院ではホクナリン,スピロペント、メプチンミニ等を処方します。ホクナリンテープ(皮膚に貼るタイプ)が便利です。テープに塗りつけてある薬が皮膚から一定の速度で吸収され効くものです。夜間や朝方に発作のあるタイプでは内服薬より効果が出ます。
3.抗アレルギー薬
からだの中で起きたアレルギー反応が気管支喘息を起きます。ザジテン、セルテクトなどを処方します。血液中のIgEが高いお子さん、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を合併しているお子さんに効果がありますといわれています。私はそれほど好きではなりません。日本ほど抗アレルギー薬を使用する国はいません。
4.ロイコトリエン  受容体拮抗剤
気管支粘膜ではアレルギー反応に引き続いて炎症反応が必ず起こります。オノン、シングレアを処方します。炎症反応が起こると気管支の収縮が起こり、さらに気管支粘膜が荒れます。炎症反応を抑えることで気管支の収縮、喘息の進展を防いでくれる薬です。
5.漢方薬
柴朴湯,小青竜湯,麦門冬湯等が効果があります。

吸入療法

気管支喘息の吸入療法には、気管支拡張剤(メプチン等)、抗アレルギー薬(インタール等)、ステロイド剤(ベコタイド、アルデシン、フルタイド等)があります。これらを上手に組み合わせることで喘息の発作回数を減らすことができます。
1.気管支拡張剤
短時間作動型β2刺激吸入剤にはメプチン吸入液、メプチンエアー、メプチンキッドエアー等があり、気管支を拡張して、喘息の発作を止める作用があります。原則として喘息の発作時に使用します。メプチン吸入液の使用には加圧式ネブライザーが必要になります。メプチン(キッド)エアーは携帯に便利な小型器具ですが、吸入にはコツが必要ですので、専用の吸入補助器具を使用します。持続作動型β2刺激吸入剤であるセレベントは持続的な効果があり、普段から吸入して発作を防ぐようにするものです。発作のときに吸入しても直ぐには効果が出ません。ですから発作が出てから吸入するものではありません。
2.抗アレルギー薬
インタール(DSCG)吸入液,インタールエアラゾルは気管支粘膜に作用して、アレルギー反応を抑える作用があります。予防薬ですので、非発作時も1日2回毎朝、寝る前に必ず吸入をして下さい。一日最大4回まで吸入可です。吸入液の使用には加圧式ネブライザーが、エアラゾルの使用には専用の吸入補助器具が必要です。DSCGの吸入をした場合はしなかった場合に比べて、将来の気管支喘息の治癒率が高くなることが医学的データとして立証されています。また、小児期早期から実施した方がより治癒率を高めます。乳幼児、小学校低学年までの気管支喘息のお子さんは、加圧式ネブライザーを購入して下さい(本院で医療器具会社を御紹介します。電器店で一般に販売されている吸入器では役に立ちませんので、御注意下さい)。
3.DSCG+β2 刺激剤の併用療法
インタール吸入液は1本2mlです。非発作時には毎朝2ml,寝る前2ml必ず吸入をして下さい(1日2本使用します)。軽い発作(咳き込み、喘鳴)が起ったら、メプチン吸入液0,1mlをインタール吸入液2mlに混ぜて吸入して下さい。吸入しても発作が治まらない場合には受診して下さい.インタールは発作がなくてもきちんと続けて下さい。発作の回数が多く、夜間にも頻回に受診するような方にはインタール+メプチン吸入療法を継続的に行うことをお勧めすることもあります。そうすると夜間受診の回数がおさえられることが実証されています。
4.局所性ステロイド剤
気管支粘膜に作用して、アレルギー反応、炎症反応を抑える作用があります。欧米や日本でも大人では主流の治療法です。私は気管支拡張剤、抗アレルギー薬の吸入をしても発作が抑えられない場合に使います。ステロイドというと恐いというイメージがありますが、吸入で使用する分には気管支粘膜にしか作用しないので、全身への影響はありません。量、回数をきちんと守っていれば安全です(200-400μg/日以下では副作用はありません)。ステロイド剤を吸入した後は必ずうがいをして下さい。うがいをさぼると口の中にカビが繁殖することがあります。
                                                               
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