子どもに見られる症状――急病――
吐いたとき
何度も吐いて、水分が取れず、尿の量が減って元気がないときは脱水が考えられますので、受診してください。赤ちゃんの場合、ちょっとした刺激(げっぷの出し方が足りなかった時等)でも吐きやすいので、心配ないことが多いですが、授乳のたびに噴水のように吐いているときは幽門狭窄症等も考えられますので医療機関を受診してください。家庭では、吐いたものが気管につまらないように横向きに寝かせます。吐いたあとはうがいをさせ、赤ちゃんの口の中はガーゼなどを指に巻き、口の中を拭いてあげましょう。水分は十分摂らせるよう心がけます。柑橘類や乳製品は避け、白湯、番茶、スポーツドリンクなどを少量ずつ回数を多く与えてください。
乳幼児の嘔吐はかぜのウイルスによる胃腸炎が最も多いのですが、その他の病気が隠れていることもあります。症状の緊急性の見極めに一番大切なことは、お子さんの全身の状態、つまり「元気があるかどうか」です。

熱が出たとき
@なぜ熱が出るのでしょう?
熱は体がかぜのウィルスや細菌と戦って起こす大切な反応のひとつです。高熱ではウィルスも死滅するので体温を上げて、体を守っているとも考えられます。免疫の力や体力が充分でない生まれたばかりの赤ちゃんやお年寄りでは、感染があっても熱がでないことがあります。
A大切なのは「熱の高さ」ではなく「熱の原因」
高い熱が出ると心配ですが、42℃以上が続かない限り、熱で頭がおかしくなることはありません。座薬などの「熱さまし」を使って常に熱を下げていたからといって病気が早く治るということはありません。熱の原因になる病気によっては死亡したり、後遺症を残す病気のこともあり、大切なのは「熱の高さ」ではなく「熱の原因」です。その原因をきちんと治療して、熱が下がらなければ、座薬で熱が一時的に下がっても、それは見かけだけのことなのです。
B熱が何度になったら「熱さまし」を使いますか?
それぞれのお子さんによって違うといえます。40度近い高熱でも平気なお子さんは必ずしも熱さましを使う必要はないでしょう。逆に熱の高さにかかわらず熱のために苦しくて眠れない、からだが痛む食欲がないというような場合には、熱さましを使ってあげましょう。又熱でひきつける子は早めに使っても良いでしょう。
こんな時は受診してください
大きな声で話し掛けても、つねっても反応が無い時にはすぐ救急車を呼びます。激しい腹痛があって何度も吐いたり、おしっこの量が減って顔色が悪くなったときは病院を受診してください。
家庭で出来る手当て
家庭では、室温を高くしたり、厚着や布団のかけすぎは熱が上がる原因になりますので、寒がっていなければ必要ありません。急速に体を冷やしたい場合は首の付け根や腋の下、足の付け根に脈をうっている動脈の部分を冷やすと効果があります。ただし、赤ちゃんは体温が下がりやすいので注意しながら冷やしてください。また首の後ろや背中の上部を冷やすと逆効果ですので気をつけてください。よく熱を出したり、熱性けいれんの経験がある子は、あらかじめ解熱剤を処方してもらいましょう。水分は熱のない時より多く、十分摂らせるよう心がけます。吐き気や腹痛があるときは、柑橘類や乳製品は避け、白湯、番茶、スポーツドリンク等を少量ずつ回数を多く与えてください。食欲があるなら、消化の良いものを食べさせてもかまいません。汗をかいたら体を拭いたりパジャマを取り替えてすっきりさせてあげましょう。

下痢をしたとき
子どもの下痢は、多くの場合、かぜのウィルスによる急性の腸炎です。ウィルスのせいで腸の粘膜が炎症をおこして、正常な消化吸収ができなくなるのです。ロタウィルスの下痢では便が白色になることもあり、酸臭(甘酸っぱい臭い)を呈することもあります。中には細菌性の腸炎もあります。そのときの下痢は血が混じったり、腐敗臭がしたりすることがあります。お子さんが下痢をしたり、腹痛を訴えているときには、ご家族の方々が便を見る習慣をつけてください。大きな子どもではすぐに便を流すことがありますので、下痢をしている時は流さないで家族のものに見てもらうように普段から教育をしてください。
おむつのとれていない赤ちゃんは自然と便を見ることは出来ますが、年長のお子さんでもこれはとても大切なことです。
こんなときは、便を持って受診してください
便を見てください。便の色は?硬さは?血が混じったりしていないか?もし便を見て気になることがあれば、受診の際に持っていってください。診察の大きな助けになります。便をお持ちになる時は一部でなく、オムツのままなど全体像がわかるようにしてください。
家庭で出来る手当て
お尻がただれやすいので、お湯でやさしく洗いましょう。よく乾かしてからオムツをあてましょう。日に当てることも良いことです。
子どもが下痢をした時、一番注意しなければならないのは「脱水」を起こさないようにすることです。下痢をすると普段より多くの水分を体から失いますから、これを補わなくてはなりません。
水分を取るとき「がぶ飲み」は禁物です。下痢のため正常な腸の動きが弱っていますから、急いで飲むとすぐに吐いてしまうことがあります。できるだけ ゆっくり、少しずつ飲むことが大切です。
食事は吐き気がなければ少しずつ始めましょう。食事の内容はひとことで言えば「初期の離乳食」のようなもの。たとえば、お粥、うどんのくたくた煮、パン粥、野菜スープなどです。卵はなるべく控えるか、少量にとどめた方が良いでしょう。
急性の下痢では栄養のことあまり気にしなくても大丈夫です。食欲がないときに無理に食べさせる必要はありません。
食欲があっても、むしろ食事は控えめにして、腸を休ませてあげましょう。離乳食をはじめたころの赤ちゃんが下痢をしたとき、離乳食を止める必要はありません。
赤ちゃんのミルクは下痢がひどい場合は半分に薄め、少量ずつ回数を多くします。下痢がよくなってきたら、徐々にもとの濃さに戻しましょう。

発疹が出たとき
発疹には赤い発疹と水のたまった、発疹の2種類があります。赤い発疹には、麻疹(はしか)、風疹、溶連菌感染症、突発性発疹、伝染症紅斑(りんご病)、川崎病、伝染性単核症、アトピー性皮膚炎、伝染性膿痂疹などがあります。簡単に判る場合もありますが、難しいことがしばしばあります。
水泡性の発疹には水痘(水ぼうそう)、手足口病、水いぼ、ヘルペス湿疹、帯状疱疹などがあります。いずれにせよ、人にうつる場合も多いので注意が必要です。
こんなときは受診してください
赤い発疹や、水泡疹が出た時には人にうつる場合が多いので、はっきりしないときは、医療機関で診断を確定してもらい、いつまで保育所や幼稚園、学校を休むべきかを聞くのが大事です。
家庭で出来る手当て
@身体を清潔にしましょう。
Aかゆい部分を冷やしてあげましょう。
B掻き傷をつくらないように爪を切ってあげましょう。
Cかゆみ止めを塗りましょう。

咳が出たとき
咳はとてもつらい症状です。しかし咳はもともと気管支や肺の中の痰や異物を排除するための正常な反射です。ですから咳が出ること自体は病気ではありません。咳の原因を正しく知ることが大切です。
赤ちゃんや幼児の気管支は当然のことながら、大人に比べて非常に細いものです。また胸の筋肉の力も大人に比べて弱いといえます。ですから少量の痰でも気管支が詰まりやすくて咳が出ます(咳は痰を出す反応です。小さい子どもは口から痰を吐くことはありません。全部飲み込んでしまいます。でもそれでよいのです)。また大人なら2−3回のせきばらいで上手に痰を出せる場合でも、子どもはそうはいきません。弱い力で何度も苦しい咳をして痰を出さなければなりません。このように子どもは大人に比べて大変咳が出やすい状態にあるといえます。
いわゆるかぜの咳は、肺に雑音は聴かれず、上気道が炎症で過敏になってでます。通常痰が絡むことはありません。空咳です。気管支炎や肺炎は気管支や肺に炎症が起きることです。聴診器で肺に雑音が聴かれることが多く、炎症の刺激や痰を喀出するために咳がでます。喉頭炎は声枯れや、犬の吠えるような咳が特徴です。気管支喘息は多くの場合、アレルギー反応で気管支が狭くなり、ゼーゼーした咳がでます。
副鼻腔炎という鼻の炎症では肺に異常がなくても頑固に続く湿ったせきが出ます。ほとんどの咳は夜に悪化します。
こんなときは受診してください
かぜのせきが長く続く場合や、副鼻腔炎で湿った咳が長く続く場合は、医療機関でお薬をもらいましょう。
@発熱と咳が続く場合、気管支炎や肺炎の心配があります。
A声がれの咳の喉頭炎は呼吸をするのがつらくなってきます。
Bゼーゼーの喘息の咳はまず座位にして水を飲ませて痰をやわらかく、出し易くすることが大事です。それでも、肩を大きく上下させる呼吸や、首の付け根がくぼむような呼吸で顔や手足の色が悪い、冷たいなどの症状が見られた場合には呼吸困難をおこしている恐れがあります。救急車で病院へ。呼吸の音が「ぜーぜー」「ぜこぜこ」とする場合、気管に痰がつまっていたり、喘息を起こしていることがあります。早めに医療機関を受診して下さい。
家庭で出来る手当て
家庭ではお湯を沸かしたり、洗濯物を干したりして部屋の乾燥を防ぎ、水分を飲ませ、のどの乾燥を防いで咳を和らげましょう。また、ほこりやペットの毛、タバコ、線香の煙などものどを刺激しますので、こまめに掃除し、タバコの煙のない環境を作りましょう。
子どもの咳の治療で大切なことは、咳を止めることではなく、楽に咳ができるように、痰が楽に出るようにすることが大切です。
タッピングといってうつ伏せにして、頭を低くして、手のひらを丸めて、数回背中を軽く振動を与えるように叩いて、物理的に痰を出す方法もあります。

ひきつけ(痙攣)を起こしたとき
こどもは脳の発達が未熟なため、高い熱が出はじめてから24時間〜48時間ぐらいに痙攣を起こすことがあります。これを熱性痙攣といいますが、殆どの場合2〜3分でおさまり、それほど心配はありません。ただし、痙攣を起こしているときには脳に流れる血液の量が少なくなるので、10分以上続くのであれば、救急車で病院へ。10分以上続く熱性けいれんは、脳炎、髄膜炎が隠れている事がありますので注意が必要です。また、初めての痙攣の場合には医療機関を受診しましょう。頭を打ったあとの痙攣は重症ですので、救急車で病院へ。家庭ではひきつけを起こしているときは安静にすることが一番です。ゆすったりせず静かに寝かせましょう。吐くときには吐いたものを喉を詰まらせないように顔も横向きにして寝かせましょう。熱のない痙攣は頭を打っただけではなく、てんかんやヒコラリー、もやもや病などのことがあります。